川沿いを走る鉄道
保津峡を流れる保津川は、直線にして7.3kmの距離が蛇行することで11.5kmもの距離になっている。
JR山陰本線はこの保津川沿いを走っていたが、屈曲部をトンネルで直線状の線路を作り、川沿いを走る嵯峨駅(現在の嵯峨嵐山駅)・馬堀駅間の旧線は廃線となって放置された。
この旧線から見られる保津峡の優れた景観を活用するために、沿線に桜、松などが植樹して整備し、日本初の観光専用鉄道として1991年に運行を再開。
渓谷沿いを走っているため、桜、岩つつじ、新緑、紅葉、雪景色と、どのシーズンでもそれぞれの趣を持った保津峡の景観を見ることができ、多くの観光客を集めている。
トロッコ駅
トロッコ列車はトロッコ嵯峨駅から幾度かトンネルを抜けてトロッコ亀岡駅までの路線距離7.3kmを、最高速度が時速35kmのゆっくりとした速さで、折り返し運転をしている。
途中にトロッコ保津峡駅とトロッコ嵐山駅があり、全4駅。
トロッコ嵯峨駅はレンガ調の駅舎で、駅舎と並んで19世紀の科学技術や芸術を展示している「19世紀ホール」があり、大型オルガンやC58形などの蒸気機関車が展示されている。
さらに日本最大級の鉄道ジオラマ「ジオラマ京都JAPAN」も併設。
トロッコ保津峡駅では山ほどのタヌキが駅のホームでお見送り。
トロッコ嵯峨野号
全列車の愛称が「嵯峨野号」で、ディーゼル機関車DE10形1104号機を動力車とした機関車1両とトキ25000形貨車を改造した客車5両で運転される。
車両は平安の王朝色である緋色、山吹色の平安ロマンをモチーフとした塗装がされ、客車の窓下にアールデコ風の黒の模様が入れられている。
客車の中は、温かみを感じる木製椅子と裸電球。
側面に格子状の柵を設け、より開放的な窓ガラスのないオープン車両の「ザ・リッチ」もある。
座席は全席指定で、乗車1か月前より販売される。
ザ・リッチ(嵯峨野リッチ号)は荒天時には座席が濡れて乗車できないため、当日販売のみだったが、現在は雨天の場合は雨に濡れることを前提で購入できる。
保津川下り
保津峡でトロッコ列車と並んで有名なのが保津川下り。
かつては亀岡から嵐山まで伐採した木材を京都の街に運ぶために保津峡を流れる保津川(桂川)が使われた。現在では同じ約16kmのコースを2時間で舟に乗り下る川下りを体験できる。
巨岩、巨石に富んだ見どころが連なり、水の流れが緩やかで静かなエリアと急な勾配の激流を水しぶきをあげて豪快に進む迫力満点のエリアを繰り返しながら、変化に富む景色を水上から楽しめる。