三千院は、天台宗の寺院であり、京都市左京区大原来迎院町に位置しています。その歴史は古く、天台五ヶ室門跡の一つとしても知られ、洛北屈指の霊地としても有名です。本堂の往生極楽院は重要文化財に指定されており、梅雨期のアジサイや秋の楓が見事です。
本尊: 薬師如来
山号: 魚山(ぎょざん)
三千院は8世紀、最澄の時代に比叡山に建立された円融房に起源を持ち、後に比叡山東麓の坂本(現・滋賀県大津市坂本)に移されました。たび重なる移転の後、1871年(明治4年)に現在地に移りました。「三千院」という寺名は大原に移転して以降使われるようになったもので、それ以前は「円融院(円融房)」「円徳院」「梨本門跡」「梶井宮」「梶井門跡」などと呼ばれていました。
三千院の歴史は、最澄が延暦年間(782年 - 806年)に比叡山延暦寺を開いた時に、「円融房」と称した一宇を構えたことに始まります。その後、貞観2年(860年)には承雲和尚が最澄自刻の薬師如来像を安置した伽藍を建て、円融院と称しました。梶井の地名と、加持(密教の修法)に用いる井戸(加持井)に因み、後に寺を「梶井宮」と称するようになりました。
梶井門跡は元永元年(1118年)に堀河天皇第三皇子の最雲法親王が入寺したのをきっかけに、歴代の住持として皇室や摂関家の子弟が入寺するようになりました。また、応仁の乱(1467年 - 1477年)で梶井門跡は焼失し、大原の政所を本坊としました。
往生極楽院は12世紀末に建立された阿弥陀堂で、内部には国宝の阿弥陀三尊像が安置されています。この阿弥陀三尊像は、阿弥陀如来を中尊とし、左脇侍の観音菩薩と右脇侍の勢至菩薩が跪座する形式が特徴です。また、天井には極楽浄土に舞う天女や諸菩薩の姿が極彩色で描かれています。
宸殿は1926年(大正15年)に建立され、宮中の紫宸殿を模して造られました。本尊の薬師如来像が安置されており、毎年5月30日には宮中御懺法講が行われます。
客殿は平安時代に龍禅院と呼ばれ、大原寺の政所であった場所です。豊臣秀吉の禁裏修復として建て替えられた旧御所の材を用いて建てられました。
境内には池泉回遊式庭園「有清園」と「聚碧園」が広がり、これらは京都市指定名勝となっています。庭園内にはわらべ地蔵が数体置かれており、訪れる人々に癒しを提供しています。
境内には弁財天、金色不動堂、観音堂などもあり、それぞれに歴史と信仰の深さを感じることができます。また、律川沿いには阿弥陀石仏(売炭翁石仏)が立ち並び、訪れる人々を迎えています。
このように、三千院は歴史的な背景と美しい自然に囲まれた寺院であり、訪れる人々に深い感動と癒しを与えてくれます。ぜひ一度訪れて、その歴史と自然の美しさを感じてみてください。
3月~11月 8:30~17:00
12月~2月 8:30~16:30
【大人】700円
JR京都駅から市バスで60分→
下車から徒歩で10分